その頃になると、私も夫はひょっとしたら何か大きな病気に犯されているのではないかと思うようになりました。本人も自分の異変に薄々気づき始めていました。しかし、夫はその不安をかき消すかのように仕事に没頭しました。
夫も精神的にタフな人間ですので、多少のことでは根を上げません。物忘れが激しくなったことをカバーするために、まめにメモをとるようになりましたし、時間をかけてもパソコンを利用して、会議資料を作成したり、企画のための資料を揃えたりしていました。
ところが、前述しましたように、しだいに数字に対する認識がなくなってきたので私は慌てて夫を病院に連れて行ったのです。そして、そこでアルツハイマー病と初めて診断されたのです。
アルツハイマー病と診断され、数ヵ月後に夫は辞表を提出しました。それからは私と2人だけの生活が始まったのです。幸い私たちにはある程度のたくわえがありましたので、当面の生活上の心配はありませんでした。
夫は1日中家にいることが不安なように見えました。また、アルツハイマー病の症状も、しだいに重くなってきました。何度も同じ事を言うようになったり、同じ質問を繰り返したり、何度も同じことをしたりします。また、置き忘れやしまい忘れが目立つようになりました。
以前は熱心に練習していたギターもまったくやらなくなりました。それどころか、得意だった曲が弾けなくなっていたのです。
スポンサード リンク