夫が頭痛を訴えるようになったのは52歳ごろのことです。その頃は支店長になったばかりで、毎晩遅くに帰宅して病院に行く暇もありませんでした。そこで、鎮痛剤を飲み続けていましたが、一向に良くなる気配がありませんでした。

半年ほどそんな状態が続き、私は夫を無理やり病院に連れて行きました。その頃、夫は頭痛と同時に物忘れが激しいというようなことを言っておりましたが、もともと夫はその傾向があったので、特にそのときは気にもしませんでした。ところが、病院で慎重に診察をした結果、夫は「若年性老人性痴呆症」と判断されてしまったのです。

私は一瞬目の前が暗くなりました。脳に萎縮が起きているのだそうです。レントゲン写真を見せてもらいましたが、確かに夫の脳は普通のその年代の人の脳に比べると萎縮しているように見えました。夫の脳は80~90歳ぐらいなら普通なのだけれども、その歳でも珍しいと言われました。

その頃から夫は通院を始めました。それでも頭痛は治らず、もの忘れも激しくなってくるように見えました。会社の資料を作ろうとしてもパソコンを触ることができないのです。キーボードを打つことすら困難なように見えました。私は必死で夫を助けるために見よう見真似でパソコンのキーボードを叩き、夫のために資料を作っておりました。



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